2026年8月19日


「インプラント治療の前に、なぜCTを撮るの?」
「普通のレントゲンだけではダメ?」
「CTでは何がわかるの?」
インプラント治療を検討している方の中には、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インプラント治療では、顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込む外科的な処置を行います。
そのため、歯だけでなく、顎の骨の厚みや高さ、神経や血管など周囲の組織の位置を事前に確認することが重要です。
そこで活用されるのが「歯科用CT」です。
この記事では、インプラント治療でCT撮影を行う理由や通常のレントゲンとの違い、CTで確認できることについて、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。
そもそも歯科用CTとは?
歯科用CTは、X線を利用して歯や顎の骨などを立体的に撮影する検査機器です。
一般的な歯科用レントゲンでは、歯や顎の状態を平面的な「2次元」の画像として確認します。
一方、CTでは撮影したデータをもとに、3次元的に歯や顎の骨の状態を確認することができます。
これによって、
・顎の骨の高さ
・顎の骨の幅
・骨の形態
・神経の位置
・上顎洞の位置
・周囲の歯との位置関係
などを、より詳細に把握できるようになります。
インプラントのように顎の骨へ処置を行う治療では、こうした立体的な情報が治療計画を立てるうえで重要になります。
レントゲンとCTは何が違う?
歯科医院では、さまざまな種類のX線検査が行われています。
「レントゲンを撮ったのに、なぜさらにCTを撮影する必要があるの?」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
大きな違いは、確認できる情報の「次元」と「範囲」です。
一般的なレントゲン
一般的なレントゲンでは、歯や骨などを2次元の画像として確認します。
虫歯や歯周病、歯の根の状態など、さまざまな診断に活用される重要な検査です。
しかし、平面的な画像のため、骨の「高さ」は確認できても、奥行きや幅を正確に把握することが難しい場合があります。
歯科用CT
CTでは、歯や顎の骨を3次元的に確認できます。
画像をさまざまな方向から確認することで、通常のレントゲンだけでは把握しにくい骨の厚みや神経との位置関係などを確認できます。
つまり、
・レントゲン=平面的に確認する
・CT=立体的に確認する
という違いがあります。
どちらか一方が優れているということではなく、目的に応じて使い分けることが大切です。
インプラント治療でCTが重要な5つの理由
1.顎の骨の「高さ」を確認するため
インプラント体は、顎の骨に埋め込んで固定します。
そのため、インプラントを埋入する部分にどの程度の骨があるのかを確認する必要があります。
骨の高さが十分でない場合には、希望する位置やサイズのインプラントをそのまま埋入することが難しいケースがあります。
CTによって骨の状態を確認し、必要に応じて治療方法を検討します。
2.顎の骨の「厚み・幅」を確認するため
インプラントでは、骨の高さだけでなく厚みや幅も重要です。
一般的なレントゲンは2次元画像のため、骨の幅を十分に把握できないことがあります。
CTを使用することで、インプラントを埋入する部分の骨を立体的に確認できます。
「骨があるように見える」だけではなく、実際にどのような形をしているのかを把握したうえで治療計画を立てることが大切です。
3.神経の位置を確認するため
特に下顎の奥歯付近には、感覚に関係する神経が通っています。
インプラント治療では、こうした重要な組織とインプラント体との位置関係を事前に確認することが非常に重要です。
CTを用いることで、神経がどこを通っているのかを立体的に確認し、距離などを考慮して治療計画を立てます。
4.上顎洞の位置を確認するため
上の奥歯のさらに上には、「上顎洞」と呼ばれる空洞があります。
上顎の奥歯にインプラントを埋入する場合、顎の骨の高さと上顎洞との位置関係を確認する必要があります。
骨の量が不足している場合には、状態によって骨を増やすための処置を検討することがあります。
その判断を行ううえでも、CTから得られる情報が役立ちます。
5.インプラントを入れる位置・角度を検討するため
インプラント治療では、単に「骨があるところに入れればいい」というわけではありません。
最終的に装着する人工歯の位置や噛み合わせなども考慮しながら、インプラントをどの位置・角度・深さに埋入するかを検討します。
CTデータを活用することで、顎の骨や周囲組織の状態を確認しながら治療計画を立てることができます。
「骨が少ない」と言われたらインプラントはできない?
CT撮影をした結果、
「インプラントを入れるには骨が少ない」
と判断されることがあります。
しかし、骨が少ない=必ずインプラント治療ができない、というわけではありません。
骨の不足している場所や程度によっては、骨を増やすための処置を行ったうえでインプラント治療を検討できるケースがあります。
例えば、
・GBR(骨誘導再生法)
・サイナスリフト
・ソケットリフト
などの方法があります。
ただし、すべての方に適応できるわけではありません。
CTによって骨の状態を詳しく確認し、治療のメリット・デメリットや身体への負担なども考慮したうえで判断する必要があります。
CTを撮ればインプラント治療は安全?
CTはインプラント治療の計画を立てるうえで重要な検査ですが、「CTを撮ればリスクがゼロになる」というものではありません。
外科処置である以上、インプラント治療にもさまざまなリスクがあります。
重要なのは、CTなどから得られた情報をもとに、
・骨の状態
・神経や上顎洞の位置
・歯周病の状態
・噛み合わせ
・全身状態
・服用している薬
・喫煙習慣
などを総合的に確認して治療計画を立てることです。
CTはあくまでも、より多くの情報を得て、適切な診断・治療計画につなげるための検査と考えるとよいでしょう。
CT撮影の被ばく量が心配ですが、大丈夫ですか?
CTと聞くと、
「放射線が心配」
と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
歯科用CTは、医科で使用される全身用CTとは撮影する範囲や装置の特性が異なります。
また、歯科用CTでも機種や撮影範囲、撮影条件によって放射線量は異なります。
そのため、必要性を判断したうえで、診断に必要な範囲を適切な条件で撮影することが重要です。
妊娠中または妊娠の可能性がある方など、撮影について不安がある場合には、事前に歯科医師・スタッフへお伝えください。
CTはインプラント以外にも使うの?
歯科用CTは、インプラントだけに使用する機器ではありません。
症例によっては、
・親知らず
・根管治療
・歯周病
・歯の破折
・顎の骨の状態
・埋伏歯
などの診断に使用することがあります。
通常のレントゲンだけでは状態を十分に把握できない場合に、必要に応じてCT撮影を行います。
すべての治療でCTが必要なわけではなく、症状や治療内容に応じて歯科医師が必要性を判断します。
アール歯科クリニック自由が丘では「ベラビューエポックス X700」を導入しています
アール歯科クリニック自由が丘では、インプラント治療などの診断に活用するため、モリタ社製「ベラビューエポックス X700」を導入しています。
インプラント治療では、目に見えている歯茎だけではなく、その内側にある顎の骨や神経などの状態を把握することが重要です。
当院では、必要に応じてCT撮影を行い、
「骨はどのくらいあるのか」
「神経との距離はどうなっているのか」
「どのような治療計画が考えられるのか」
などを確認しながら治療計画を検討します。
また、撮影すること自体を目的とするのではなく、得られた画像情報を診断や患者さまへの説明に活用することを大切にしています。
「自分はインプラントができるのか知りたい」
「以前、骨が少ないと言われた」
「インプラントに興味はあるけれど、手術が不安」
という段階でも構いません。
自由が丘・奥沢周辺でインプラント治療を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q.インプラント治療では必ずCTを撮りますか?
インプラント治療では、顎の骨や神経などの状態を把握して治療計画を立てるために、CT撮影が重要になります。実際に必要となる検査については、患者さまのお口の状態や治療内容に応じて歯科医師が判断します。
Q.普通のレントゲンではダメですか?
一般的なレントゲンも重要な検査ですが、基本的には2次元画像です。CTでは骨の幅や厚み、神経などとの位置関係を3次元的に確認できるため、インプラント治療計画に役立ちます。
Q.CT撮影は痛いですか?
基本的にCT撮影そのものに痛みはありません。装置の指示に従って位置を合わせ、撮影中はできるだけ動かないようにしていただきます。
Q.CTを撮ったら、その日にインプラント手術をしますか?
必ずしもそうではありません。CTなどの検査結果をもとに治療計画を立て、治療内容やリスク、期間などをご説明したうえで手術を検討します。
Q.骨が少なくてもインプラント治療を受けられますか?
骨の不足している場所や程度によっては、骨造成などを行うことで治療を検討できるケースがあります。一方で、すべての方に適応できるわけではありません。まずCTなどで骨の状態を確認することが重要です。
まとめ|CTは「見えない部分」を確認して治療計画を立てるための重要な検査です
インプラント治療では、歯茎の下にある顎の骨や神経、上顎洞など、外からは見えない部分の状態を把握することが重要です。
通常のレントゲンが主に2次元的な情報を得る検査なのに対して、歯科用CTでは顎の骨などを3次元的に確認できます。
CTによって、
・骨の高さ・幅
・神経や上顎洞との位置関係
・インプラントを埋入する位置や角度
などを検討し、治療計画に活用します。
「なぜCTまで必要なの?」と疑問に思った方は、検査の目的について歯科医師から説明を受け、納得したうえで治療を進めることが大切です。